平成13年9月9日
「高校数学セミナー」in 岐阜 (募集要項)

『1』身の回りにある数学の世界を探してみよう。『身の回りにある数学の世界を探してみよう。
驚くべき数の不思議 数学に支えられた巨大な建築物 大数学者の驚くべき発想。』
『数学セミナー』って、何をするの?
(1)身の回りにある様々な事象を数学の目で探り、新しい発見をします。
(2)数学のおもしろさを体験し、考える喜びを味わいます。
(3)一流の講師が、数学の最先端の話を分かりやすく解説します。
   (例:360年以上解くことができなかったフェルマーの定理)

 

『2』 応募案内
(1)参加対象:岐阜県内の高校生1〜3年生 
(2)期日:平成13年8月6日〜8日 10時より16時まで
(3)会場:岐阜県民ふれあい会館、
(4)参加料:無料 締め切り:7月19

『3』 講義案内:

1.8月6日(10時から16時):講師:岐阜大学教育学部(山田雅博助教授)

(1)数について(数字で遊ぼう。数の話・倍数・素数)
(2)自然数について(自然数って何?足し算って何?)
2.8月7日(9時半から16時):講師:午前中は岐阜大学教育学部(山田雅博助教授)、午後は岐阜高校林辰郎教諭 
(1)命題と論理(背理法は本当に正しいのか?自然数と整数はどっちが多いか?)
(2)数学オリンピックの過去問に挑戦
3.8月8日(9時半から16時):講師:筑波大学 (渡辺公夫教授)
1.最近証明された「フェルマーの定理」を解決するにあたる経緯と証明に概要)
2.交流会(今日の講義と演習について)

 

『4』「高校数学セミナー」の報告(1日目)をします。講師は岐阜大学教育学部山田助教授

1限目は数についての話でした。最初は、1.数の分類で、自然数から始まり整数、有理数、無理数、実数と受講生に問いかけながら定義の説明がありました。
 次に、2.数の歴史についてです。・BC500年くらいピタゴラス教団(ギリシャ)が数とは正の有理数のみと思っていた。
(ただし、0の記号をない。また、無理数を発見してはいたが、隠されていた)。
・紀元後600年くらいインドで「0の発見」があり、正の数・負の数・0を用いていた。
・1500年くらいドイツで「+」「−」を導入。
・1860年くらいドイツのデデキントが「無理数とは何か」。
・1890年くらいイタリアのペアノが「有理数とは何か」を考えた。
3.補数について、補数とは9と1、93と7とかいう組を互いに補数という。2つの数を足して10,100、・・・となる数を互いに補数という。
ここで、積98×87の計算について、補数を用いて行う説明がありました。
 すなわち、補数2と13をかけて26(下2桁、ただし、3桁の場合は百の位だけ後で足します)。次に98と87を足して185、
このとき、百の位は1は無視(100を引く)し、下2桁の85が上2桁になり、答えは8526という方法です。
みなさん!理屈を考えてください。
さらに、93×82は、2つの補数の積7×18=126、93+82=175で、百の位は補数から1と75を足して76とし、答えは7626となります。
<受講生はこの計算方法に感動>


2限目は倍数についてです。3や9の倍数の発見方法を証明しながら、解説されました。この考え方で11の倍数についても考えなさいと問題を出されていました。
では、まとめておきます。
「3の倍数」は、ある数の数字の和が3の倍数なら、その数は3の倍数。
 例:267=2×100+6×10+7×1
      =2(99+1)+6(9+1)+7
      =3{2×33+6×3}+(2+6+7)
「9の倍数」は、ある数の数字の和が9の倍数なら、その数は9の倍数。
 例:3924=3×1000+9×100+2×10+4×1
       =3(999+1)+9(99+1)+2(9+1)+4
       =9{3×111+9×11+1×1}+(3+9+2+4)
「11の倍数」は、1けたおきにとった数字の和の差が、11の倍数。
例:3927=3×1000+9×100+2×10+7×1
       =3(1000+1)+9(100−1)+2(10+1)+(−3+9−2+7)
       =3(1001)+9(99)+2(11)+(−3+9−2+7)
       =3(11×13×7)+9(9×11)+2×11}+(−3+9−2+7)
       =11{(3×13×7)+(9×9)+2}+(−3+9−2+7)
このセミナーの中にはなかったのですが、あと、「7の倍数」「13の倍数」の発見方法があります。
ヒントは「11の倍数」と同じですが、1001=7×11×13に由来しています。読者のみなさん考えてみては。

  次に、素数(1とその数以外に約数を持たない自然数。ただし、1は除く)の話です。
2,3,5,7,11,13,17,19,・・・・
 で、自然数を1(単位数)、素数、合成数に分類できます。

【定理:「素数は無限個ある」】という定理を証明するのに、背理法を用います。
(注:背理法とは「結論の逆を仮定」して、「矛盾」を導く、そして、「仮定は間違い」を述べる論法)
【証明】素数を有限個と仮定して、素数を小さい順に並べると、2,3,5,7,・・・,a(ここで、終わり)
   そこで、A=2×3×5×7×・・・×a+1とおくと、a<A で、
Aは素数でないとすると、素数2,3,5,7,・・・、aのどれかと約数にもつ。すなわち、割り切れる。

ところが、Aは2でも、3でも、5でも、・・・、aでも割ると、余りが1となり、割り切れない。これは、矛盾。

 したがって、素数は無限個ある。(証明終わり)
<この証明は、簡単に理解できたようで、記憶に残っていくでしょう。>

ここで、昼食をはさんで、午後から3限目に入り、
1.素数はどうかを見分けるのに、調べたい数より大きくて、一番近い平方数の平方根をみつけ、みつけた数より、小さい素数で割れるか調べる。
 例えば、499が素数かどうかを見る。499<529=23
 もし、499が23で割り切れたとすると、23×□=499<529=23  ∴ □<23

同様に、499が23より大きい数で割り切れたとすると、もっと小さな数を約数にもつ。
以上から、素数かどうかを調べたいとき、499<(ある数) で、このある数より、小さい素数で割り切れるかを調べる。
   113<11,499<23 で調べて、素数と判定する。
2.自然数のペアノの公理を5つあげられ、集合Nが自然数であることを定義された。(涙をのんで認める)

(1)1は自然数である。
(2)各自然数に対して、それらの後者と呼ばれる自然数がただ一つ定まる。
(3)1はいかなる自然数の後者を持たない。
(4)相異なる自然数の後者は相異なる。
(5)集合Mが次の条件(*)を満たすならば、Mはすべての自然数Nを含む。
   (*)1.Mは1を含む。2.Mが自然数nを含むとき、常にMはnの後者をも含む。
  これによって、1は自然数Nに含まれるから、1の後者が自然数Nにある。これを2と書く。
  2は自然数Nに含まれるから、2の後者が自然数Nにある。これを3と書く。・・・・

3.数学的帰納法はペアノの公理を5番目でして、この証明方法で何となく自然数全体で成り立つことを認めてくださいと。
で、この帰納法で。問題:ここで、問題:1+2+3+4+・・・+n=n(n+1)/2を証明しなさい。
<初めて試みる受講生にとっては、理解しづらかったようです。>これで、1日目が終了でした。明日からが楽しみです。

『5』「高校数学セミナー」の報告(2日目)をします。午前中は講師は岐阜大学教育学部山田助教授、午後は
、午後は岐阜高校林辰郎教諭

1限目:1.命題と論理の講義です。命題とは正しいか正しくないかが、はっきりしているもの。
例えば、p:「2は8の約数である」。これは真、T(truth)と書く。
    q:「1/5は自然数である」。これは偽、F(fail)と書く

pかつqをp∧q、pまたはqをp∨q、pでないことをと表す。
さらに、真偽表(太郎さんにとっては、久しぶりです)を作成し、定理:「p⇒q」⇔「∨q」を証明しました。

 p

p∨q

p∧q

p∨q

p∧q

 

【定理:ド・モルガンの法則】(1) p∨q   (2) p∧q  (注:真偽から成り立つことがわかる)

p⇒q

p⇔q

∨q

 

【定理:「p⇒q」⇔「∨q」   (注:真偽表から成り立つことがわかる)

2限目:「p⇒q」の証明方法の1つに、対偶「」があり、これが同値であることを示しました。
2つ目の方法には、背理法があります。これは、「p⇒q」を証明するのに、pであるけどqでないと仮定して矛盾を導き出す。
定理:「p⇒q」⇔「pかつqでない⇒矛盾」を証明しました。

2限目は、集合の濃度です。自然数全体をΝ、整数全体をΖ、有理数全体をQとする。
 
*:A,Bが無限集合のとき、A,Bの要素の各々がもれなく1本1本の線で結べるとき、AとはBは同じ濃度をもつという。
ここで、問題1.NとZの要素の個数はどちらが多いか。
        (
受講生に聞いたところ、半数近くがZが多いと答えていましたが、中には同じと考えている受講生もいました。

(さすが、レベルが高い。どこで知ったのだろう。)証明Z∋0を、N∋1に対応し、Z∋n(正の整数)をN∋2n+1(奇数)、Z∋n(負の整数)をN∋2n(偶数)に対応させると、
    ZとNの要素のそれぞれがもれなく1対1に対応しているから、ZとNは同じ濃度を持つ。証明終。


問題2.正の有理数全体と自然数全体は同じ濃度か。
『証明』1/1,2/1,3/1,4/1,・・・
    1/2,2/2,3/2,4/2,・・・
    1/3,
2/3,3/3,4/3,・・・
と、図を書いて、斜めに
番号を打つことにより、丁寧に証明させましたが、答えは同じ。


問題3.自然数全体と実数全体は同じ濃度か。ここで、1=0.99999……が等しいことを確認してから、0から1までの実数をJとし、すべて無限小数に表すと、番号がつかない無限小数があるので、同じ濃度でない。(太郎さんにとって、この証明方法は大学で習います以来です。高校では扱っていません)
【定理:JとNは
同じ濃度を持たない。
『証明』
(* 背理法で示します) 逆に、JとNは同じ濃度をもつと仮定する。このとき、J={x,x,x・・・}と番号をつけて並べられる。
   約束 0.6=0.59999・・・
と書ける。すべて、0から1の間だから
=0.x11121314・・・・

=0.x・・・・
=0.x31323334・・・・
ここで、y=1(xnnが偶数のとき)、y=2(xnnが奇数のとき)、として、
y=0.y・・・・とおくと、yは,x,x,x,・・・のどれとも違う。yはx小数第n位と違う。
 しかし、0<y<1より、y
∈J  よって、矛盾 (注:実数は番号を付けられない)



 午後からは、数学オリンピックの過去問を5題受講生に解いてもらいました。3問紹介します。
1問目:縦、横、斜め、どの
方向でも秒速1cmで動けるペンを備えた作図装置がある。ペンが紙についていれば動きに従って線が描かれ、ペンが紙から離れていれば何も描かれない。この装置で次の図形(1cmの正方形が4つある)を描くのに最短で何秒かかるか。
 
ただし、図に現れる角はすべて直角とし、ペンを紙につけたり離したりする動作には時間はかからないものとする。(出典:1995年日本数学オリンピック予選)

 

 

 

 


2問目:辺がABとCDが平行な等台形ABCDがあり、AB=BC=DA=1,CD=1+√2である。辺AD上に動点Eを以下の条件を満たすようにとる。
    条件:Eを通るある直線を折り目としてこの等脚台形を
折り曲げたとき、頂点Aが辺DC上にくるようにできるDEの長さの最大値を求めよ。
     (出典:1998年日本数学オリンピック予選)

 

問目:1998以下の正の整数nでn^1998−1が10の整数倍になるものが何個あるか。(出典:1998年日本数学オリンピック予選)


問目:1996個の電球があり、順に1,2,…,1996と番号がついている。最初、これらの電球はすべてOFFである。正整数kに対し、操作P(k)は、番号がkの倍数であるすべての電球のON/OFFを反転させる操作とする。この操作P(k)をk=1,2,…,1996について1回ずつ行ったとき、最終的にONになっている電球の個数を求めよ。(出典:1996年日本数学オリンピック予選)


問目:一辺が長さ1の正二十面体のもっとも長い対角線の長さを求めよ。(出典:1999年日本数学オリンピック予選)


太郎さんのコメント:受講生の目の輝きが違います。本当に未だ見ぬ偉大な数学者といった感じです。考え方がスムーズで発想が柔らかいという感じ。
答えに至るまでの時間が短いのです。驚き。>

 

 

 以下は概略でして、これから書きます。(記入9月9日)

『5』「高校数学セミナー」の報告(3日目)をします。高校数学セミナー」の3日目は、講師の筑波大学渡辺公夫教授
でして、テーマは「フェルマーの最終定理を解決するにあたる経緯と証明の概要」です。
 最初から、受講生に力ずく、「数学を学ぶのに必要なことは、、人より早く解く方法だけでなく、なぜこの理論が生まれたかを考えることです。自分の思考空間をいかに広げるかなんです。これが数学のダイゴミなんです。」と話しかけられました。
講義の中にでてきた幾つかの問題を書きます。
問題1:肉屋に買い物に行って、√2kgの牛肉を買ってきてください。あなたが肉屋の主人ならどうようにして、測りますか。
問題2.三平方の定理を知ったばかりの中学生に、3辺の長さが、3cm、5cm、7cmの三角形がある。このとき、辺が7cmである対角の角度は何度ですか。
問題3:a、b、cが自然数のとき、次の三平方の定理の解を一般に表してください。
(1) a+b=c
(2)a+(a+1)=c
(3)a+b=(b+1)
(4)a+b=(2a±1)
問題4:lim n(2^1/n −1)の値です。(受講生には、結果として使いました)
    n→∞
   さらに、この値を電卓で求めました。この方法も考えてください。ただ、n=10で十分です。
また、丸いケーキを中心から、扇形に切ったケーキを半分にする方法や、楕円の場合はどうですか。(これらは、図形がないと考えにくいので、割愛します。)
さらに、カバリエリの原理を説明され、2次曲線の面積を求める問題もありました。(これも、グラフがないと考えにくいので、割愛します。)
 午後からy=1/xのグラフにおいて、区間[1,4]とx軸で囲まれた面積を半分にするには、区間[1,t]のどこで区切ればよいですか。ここでも、カバリエリの原理を使いました。まだ、積分も対数も知らない受講生なのに解けるのです。
 最後には、フライ曲線から、フライ予想、志村=谷山予想の話ででてきて「フェルマーの最終定理」の講義が終了しました。
なお、2月9日の朝日新聞の夕刊の記事を載せておきます。☆ 有名な「フェルマーの最終定理」を解くカギになった数学の超難問「谷山・志村予想」を完全に証明したと、米国とフランスの共同研究チームが2月8日、明らかにした。チームの一員で、仏国立科学研究センターのクリストフ・ブルイユ研究員(32)は朝日新聞の取材に「証明は終わっており、米数学会誌への論文掲載も決まっている」と話した。谷山・志村予想は、東京大学の谷山豊・助教授(故人)と米プリンストン大の志村五郎名誉教授が1950年代半ばから60年代にかけて提示した。「楕円曲線」と呼ばれる曲線の仲間はすべて、数学的に極めて美しい「モジラー形式」に支配されるという内容だ。予想が提示されて以来、新しい数の理論が生まれ、素粒子論や暗号理論に影響を与えらた。☆
また、岐阜新聞の2月8日夕刊の「谷山・志村予想」の記事です。全文引用して、紹介します。
☆半世紀近く日本で生まれ、有名な「フェルマーの最終定理」が1995年に証明されたのに伴って一部が証明されていた数学の難問「谷山・志村予想」を、米国とフランスの共同チームが全面的に証明した。
谷山・志村予想は数論や解析学、代数幾何学という数学の異なる分野間にある深いつながりを示しており、フェルマーの最終定理よりはるかに豊富な数学的内容を持つ。証明を仕上げたのはリチャード・テーラー米ハーバード大学教授やフランス・パリ南大のクリストフ・ブルイユ博士ら四人。論文は米数学会誌に近く発表する。
谷山・志村予想は、有理数を係数に持つ方程式で決まる「だ円曲線」はすべて、非常に美しい対称性を持つ極めて特殊な関数「保型形式」に結びついているという内容だ。故・谷山豊博士(1927〜1958)が50年代に着想し、共同研究者の志村五郎・米プリンストン大名誉教授が60年代に定式化。全く違う2つの数学的対象の深い関連を示唆し、学界に衝撃を与えた。
アンドリュー・ワイルズ・プリンストン大教授がフェルマーの最終定理を証明した際、ある場合に予想が成り立つことを証明。その手法から藤原一宏名古屋大学助教授とフレッド・ダイヤモンド米ブランダイス大准教授が別々に同じ予想証明の基礎理論を作った。テーラー教授やダイヤモンド准教授らは今回、その理論に詳細な計算を組み合わせ、どんな場合も予想が成り立つことを証明した。
 以上です。太郎さんは以前から、気にしていたベル数のでてきる2つの問題を教授に尋ねておきました。1つは、第46回の応募問題「無限級数の和」
2つ目は、「プレゼント問題」のNo106の中に出てくるベル数はどうしてですか。「(原点のまわりの)m次のモーメント」を求める公式は何ですか? どのような世界でつながっているか疑問の思っています。教えてください。